鞆の浦二月の風物詩!お弓神事へ行ってきました!
日本遺産鞆の浦にある沼名前神社にて2月に開催されているお弓神事という神事があります。
昭和46年3月31日に福山市の無形民俗文化財に指定されたお弓神事は年頭に、一年の悪鬼(諸悪)を祓い、町民の息災・平穏無事を年初に祈るためと云われています。鞆の祇園さんと親しまれている沼名前神社、毎年二月の第2日曜日に境内社の鞆八幡神社で行われる神事を紹介していきましょう。※2020年が2月9日(日)14時より
午後2時…どこからか「申す~申す~お弓を申す〜」と高らかな声が聞こえてきます。
境内に上がってきた当番町の所役達は、八幡神社の拝殿で祈祷。
そして、舞台へあがってくる所役達
同時に祈祷が終わると、的の台座中央に標的が釣り上げられます。
釣り上げられた径六尺(約180センチ)標的は、裏側を掲げます。
その裏側には「甲・乙・ム(なし)」の組み文字が書かれており「勝負事にあらず、争いは無用」という意味。
■矢場のお浄め
次に矢場のお浄めがあります。
禰宜(ねぎ)・神職二名が舞台から降り、約1メートルの青竹で作った小弓に白羽の竹矢を持っています。
そして、神職は径30センチあまりの小的を持ち弓場へ。
弓場の中央で禰宜と神職は五間ほどの距離をとり、的の上空(東北・東南・南西・北西・天)に向かって軽く竹矢を放ち、矢場を浄めます。
この時に放たれた竹矢は「家内安全の守り札」とされ、小弓も小高く投げ上げられ観客の間で奪い合いになります。
そして標的は表に返されます。
矢場のお浄めが終わると、可愛らしい二人の「矢取り」が登場。
烏帽子をかぶり、背中には白樺と一升入り程度の瓢箪・同じ大きさの銅鈴を背負い、カランコロンと、音を立てながら的場の下へと父親に手を引かれながら走っていき両脇に分かれて座ります。
そして、弓主の登場!
会場は緊迫したムードに包まれました!
◾️「でーかけた、でーかけた」の掛声と共に弓主たちは舞台の前へ
「でーかけた、でーかけた」出かける
「にーらみやいこ、にーらみやいこ」睨み合う
「いーそいだ、いーそいだ」急ぐ
「せーりやいこ、せーりやいこ」競り合う
「あーさむ、あーさむ」寒い
「あーぬく、あーぬく」温い
※上記の動画をご覧ください!
この掛声のあと、寒空の下で弓主達は片袖を脱ぎいざ弓を引きます。
◾️「ねーろーた、ねーろーた」の掛声に弓主はじっと的を見据えて、心を整え集中
会場はたたずをのんで見守ります。
緊迫するこの空間でいつ矢は放たれるのか、ドキドキです!
「タンッ!」
と的に矢が刺さった音が響き、息を潜めていた会場からは一気に拍手喝采。
◾️「やーとーりーが、かーけった」の掛声に場内はニコニコ笑顔に!
放たれた矢を拾い、お父さんに手を引かれながら矢取りの稚児がちょこちょこと歩く姿は可愛すぎます!!
そして稚児にとっては長すぎる儀式…
すやすやと夢の中の矢取りも…
お父さんに抱えられながらユラユラ揺れる矢取りの姿にみんな素敵な笑顔で見守っていました。
こうして、弓主が放った矢を拾い舞台にいる小姓に受け渡し再び弓主が放ち…と、同じことを3回繰り返します。
儀式が終わる頃、正面の大的が投げ下ろされ観客は競って奪い合います。
この的の一部をもって帰り「家内安全、疫病防除」の守り札とする風習があるそうですよ。
鞆の浦に古くから伝わる…お弓神事
力強い弓の弦音が、新年の無事と平穏を祈る神事。
鞆の二月の風物詩…『お弓神事』に一度足を運んで見られてはいかがでしょうか。
お弓神事~入魂の一矢~
フォトライター miho
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